大原記念財団について
大原記念財団の理念 (平成24年(2012) 1月1日制定)
人を愛し、病を究める
私たちは、すべての患者さまとご家族のために、
常に一歩先行く医療を探究し、優しさを持って
最善を尽くす医療を実践することにより、
地域から信頼される病院を目指します。
行動規範 (平成24年(2012)年 1月1日制定)
私たちは
1.医療安全を確立し、安心と信頼を獲得します
2.命の尊厳を深く理解し、患者さまの権利を尊重します
3.優しさを持ち、気づきの医療を実践します
4.人間性豊かな医療人となるよう、常に自己研鑽します
5.新しきことへ挑戦し、質の高い医療を創造します
6.医療人としての誇りを持ち、如何なる時も最善を尽くします
7.医療情報の共有と活用を促進し、得られた情報は厳格に管理します
8.地域社会に支えられていることを認識し、医療連携を推進します
9.相互に敬意を払い、連携を密にして組織的に行動します
10.未来への発展のために、健全経営を目指して努力します
理事長あいさつ (令和5年(2023)年)
私たち大原にとって縁起の良い年になるよう頑張ってまいります。

一般財団法人 大原記念財団
理事長兼統括院長
佐藤 勝彦
新年、明けましておめでとうございます。令和5年、2023年の幕が開きました。
昨年は病院創立130年の節目の年でしたが、昨年を振り返ってみますと、やはりコロナウイルスに苦しめられた1年ということだったと思います。ウイルスが変異を繰り返し、オミクロン株となって感染力がさらに増した形で私たちに襲いかかって来ました。昨年1月以降は、第6波、第7波、そして第8波と、息をつく暇なく感染の大きな波が次々と来襲してきたために、各病院でクラスターが発生し、その度に診療制限をかけなければならず、結果的に医業収益が思うように上がらずに苦しい結果となりました。
また、昨年から勃発したロシアによるウクライナ戦争は、世界経済を混乱に陥れ、インフレを招き、日本でも悪い円安もあり全ての物が値上がりして物価高を招き、特に光熱費の高騰により、これまでに経験したことないほどの病院経営には負の影響が及んでいます。これまでも費用削減に取り組んできましたが、これまで以上に、手袋などの消耗品の類、節電や節水など細かなところから費用削減対策をとっていく必要があります。
さらに、昨年はインターネットからのコンピューターウイルスの攻撃によるシステム障害が日本の病院でも発生しました。このようなサイバー攻撃から病院を守っていかなければなりませんが、皆様の使っているコンピュータや携帯も危険に晒されていますので、病院システムを守るためには一人一人の危機意識が大切です。
このように病院は今まさに、感染症による診療の危機、物価高による費用の増大による経営危機、そして病院システムの危機と、3重苦に晒されております。この苦境をどう乗り越えていくか、それが本年に課せられた大きな課題と認識して、一致結束して対応しなければならないと思っているところです。
さて、本年2023年は卯年、癸卯「みずのと・う」という年で、暦占いでは、「これまでの努力が花開き、実り始める年」だそうです。 そして、うさぎといえば、私は野うさぎを連想してしまいますが、野うさぎは大原にとって縁の深いマスコット(※2代目院長大原八郎「野兎病」の発見)で、大原にとっては縁起の良い年ということができます。今年は、計画がトントン拍子に進行していくような気がしています。
今年の抱負について申し上げたいと思いますが、その前に昨年の年頭挨拶で申し上げた昨年の抱負がどうなったのかについて反省を込めてお伝えしたいと思います。
昨年の抱負は3つありました。「感染防止対策」「医療ICTによる医療の質の向上」、もう一つが「積極投資と財務基盤の強化」でした。まず3番目の「財務基盤の強化」については先ほども申しましたように経営的には非常に苦しい状況ですので残念ながら思惑通りにはいかなかったと思います。
2番目の「医療ICTによる医療の質向上」については、昨年に大原綜合病院は医療機能評価を受けましたが、サーベイヤーからはそれなりに高い評価を得ましたので、少しは前進していると思います。至らぬところを改善すればもっとよくなると思います。
そして1番目の「感染対策」については、各病院ともクラスターは発生したものの、皆様の協力で最小限に食い止められたと思います。特に大原綜合病院では、院内感染による大規模なクラスターはなかったので感染対策は万全であったと思われます。しかし、鉄壁すぎたところ、不足していた点については、冷静に見直さなければならないと思います。
勝負事では「防御は完璧でも、攻めないと勝てないのが鉄則」ですので、このところが今後の感染対策の肝になると思われました。
では、今年の抱負についてですが、やはり第1には「コロナ感染症を克服して安定した経営をしていきたい」ということです。
おそらく新型コロナウイルス感染症は、今後間もなく法律的にはインフルエンザと同様の扱いになるでしょう。地域住民のみなさまの意識はすでにそのようになっているかと存じます。年末年始の国民の行動を見る限り、社会経済活動はコロナ以前と同じに戻っています。 年末に福島県が感染防止のための行動制限を訴えましたが、全く効果が得られませんでした。しかし、12月の感染状況は1ヶ月の感染者数も死者数も最悪の状態でした。
本当にこれで良いのでしょうか。このままだと社会全体が自然免疫を獲得して収束するまで放置状態となってしまうのではないかと感じています。今年中に沈静化の方向へ向かうことを期待したいと思いますが、完全に収束するまでは感染対策は継続しなければなりません。
私たち医療従事者はワクチン接種をしっかり行って守りを固める必要があります。そして、攻めの感染対策を行ってまいります。攻めの対策とは、つまり感染リスク評価は、患者さまを断るための評価ではなく、受け入れるための評価とし、発熱者がいれば積極的に検査を行い、感染者をつぶさにあぶり出して対応することで院内感染を防いで、安全に通常医療や救急医療を継続させる、これらが機能的に組織的にできるようになってほしいと思います。攻めの感染対策ができれば自ずと収益改善にもつながっていくと思います。
2つ目は「大原グループとしての医療機能を充実させ発展させていきたい」ということです。
これまでに法人内医療連携ケアシステムの構築を進めてまいりましたが、この次はそのシステムをより一層充実させて、卯年にあやかり飛び跳ねて、ジャンプアップしていきたいと思っています。そのためには、まず急性期における専門医療や救急医療の機能をより充実させること、そして回復期医療と精神医療の充実と、それらの融合に向けて計画を進めていきたいと思います。
3つ目は「働きがいのある職場にして、職員も家族もそして患者さまも笑顔にしていきたい」ということです。
昨年をふりかえると、やはり感染症への対応等の問題もありましたが、当財団は多様な人材を受け入れられる職場でなければなりませんし、やりがいを感じる職場になっていかなければならないと感じています。働き方は、それぞれの職員の思いをどのように実現していくか、one for all,all for oneのspiritsが大事になると思っています。また医師の働き方改革については、今年が正念場になりますのでしっかり取り組んでまいります。
財団として、病院として、職員の皆様が「大原でよかった」と言ってもらえる職場の風土作りにも力を注いで行きたいと思います。
以上が今年の抱負です。
2023年は、私たち大原にとって縁起の良い年になるよう頑張ってまいります。
どうか本年もよろしくお願い申し上げます。